系統
系統:  Bald rat 
キーワード:  無毛、脂質代謝異常、皮膚がん 
由来:  1970年、フランクフルト(ドイツ)の動物業者の繁殖コロニー中に見出され、Wistar ラットとの交配後、兄妹交配で維持されていた。1973年ヘキストジャパン研究所(埼玉)に導入、兄妹交配で維持されている。 
表現型・病態:  生後2週目までは正常に被毛が生じ、正常アルビノラットと区別が付かない。3週齢頃から、眼の周囲、顔面、背、四肢の被毛が徐々に抜け始め、完全に脱毛した後の皮膚表面は非常に滑らかである。その後まだらな薄い被毛が再生するが、加齢にともない被毛は減少していく。2ヶ月齢より皮膚にしわが現れ、加齢とともに深くなっていく。オス、メスとも妊性はあるが、分娩4日後に乳腺組織が退縮し、メスは胎児を育てることができない。血中総コレステロールは加齢に伴って上昇することなく、また triglyceride は正常ヘテロラットの約半分である。皮下脂肪も正常ヘテロラットに比べ少ない傾向を示す。褐色脂肪細胞は新生児のそれと非常に似ている。これらのことから、bald ラットの脂質代謝もしくは熱産生に異常が存在する可能性が示唆された。皮膚がんは6ヶ月齢のオス bald ラット52匹中8匹に観察された。 
病因(原因遺伝子):  無毛の表原型は常染色体劣性遺伝する。ミュータント遺伝子は ba (bald)と名付けられた。 
臨床への応用、有用性:  脂質代謝異常の研究、皮膚がん感受性遺伝子の研究 
維持機関:  (株)ヘキストジャパン研究所 (1999年6月1日現在) 
文献:  Inazu, M., Kasai, K., Sakaguchi, T. Characteristics of a new hairless mutation (bald) in rats. Lab Anim Sci. 34: 577-583, 1984. Inazu, M. and Sakaguchi, T. Morphologic characteristics of the skin of bald mutant rats. Lab Anim Sci. 34: 584-587, 1984.  
執筆者記録:  庫本高志(京都大学)1999年6月1日, TS:4/21/03 
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