系統
系統:  CVD (cerebella vermis defect rat) 
キーワード:  小脳虫部欠損、小脳異形成、運動失調、神経細胞移動異常 
由来:  cvd (cerebellar vermis defect) ラットは、1992年、LEW ラットに発見された運動失調ラットに由来し、大阪府立大学獣医病理学研究室にて維持されてきた。この形質は常染色体性劣性遺伝様式をとる。現在は LEWとDonryu ラットの遺伝背景を持つ交雑となっている。 
表現型・病態:  cvd は、生後14日頃より、後躯を主体とする運動失調を示す。発症ラットは、比較的自由に前肢を使えるため、後躯を引きずって運動をすることが多い。発症ラットにおいても生存率に変化は認められない。発症ラットにおいて、小脳虫部は完全に欠損しており、左右小脳半球は正中部にて癒合している。また、癒合した小脳半球正中尾側には、シスト形成が認められる。組織学的には様々な程度の小脳皮質の配列異常が認められ、小脳半球では小脳分子層の陥入、異所性プルキンエ細胞が見られる。また、小脳と橋の境界部には、小脳構成細胞が全くでたらめに配列する異形成小脳が見られる。cvdの小脳発生が経時的に調べられ、生後0日以降、小脳構成細胞が橋組織へ侵入し異所性小脳となること、小脳異形成の病理発生には血管周囲に異常集簇する外顆粒細胞が重要であることが明らかとなった。 
病因(原因遺伝子):  病因遺伝子 cvd はラット第2染色体上にマッピングされている。 
臨床への応用、有用性:  cvd ラットは小脳虫部欠損と小脳異形成を合わせ持ち、ヒトの虫部欠損をきたすWalker's lissencephaly やNeu-Laxova 症候群およびヒトの小脳皮質異形成の病態解析モデルとなることが期待される。 
維持機関:  大阪府立大学農学部獣医病理学講座 (2001年5月30日現在)  
文献:  Kuwamura, M., Morikawa, T., Yamate, J., Kato, K., Kotani, T., Sakuma, S. Glial pathology in development of cerebellar dysplasia in the hereditarycerebellar vermis defect (CVD) rat. Acta. Neuropathol. 99: 305-309, 2000 Kuwamura, M., Shirota, A., Takada, A., Yamate, J., Kotani, T., Sakuma, S. Spontaneous and ethyl-nitrosourea-induced medullomyoblastomas in cerebellarvermis defect (CVD) mutant rat. Acta. Neuropathol. 99: 285-288, 2000  
執筆者記録:  桑村 充(大阪府立大学)2001年5月30日, TS:4/21/03 
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