系統
系統:  dmy (demyelination) rat 
キーワード:  後駆麻痺、ミエリン層破壊、空胞形成 
由来:  1991年バルセロナ大学のSD系ラットクローズドコロニーにおいて、離乳時頃より後駆麻痺を示すミュータントラットとして見い出された。パスツール研究所(パリ)を経て、京都大学医学部附属動物実験施設に導入された。 
表現型・病態:  離乳時頃より後駆麻痺を示す。生後3週目では正常なミエリンが形成されているが、3ヶ月齢では中枢神経系全体、特に、小脳、脳幹、脊髄前索部において血管周囲細胞浸潤を伴わないミエリン層の破壊および空胞の形成が観察される。これらの表現型は常染色体上の劣性遺伝子により支配される考えられ、この突然変異遺伝子は demyelination (dmy) と名付けられた。 
病因(原因遺伝子):  dmy遺伝子は第17染色体上のマーカー、Prl (Prolactin), Hh1tts (Testis specific histone ), At1a (Angiotensin II receptor type 1) とそれぞれ、0.0 %, 2.7%, 2.7% の組替え率で有意に連鎖していた。またハプロタイプの解析により、dmy 遺伝子はHh1tts - (2.7 cM) - Prl, dmy - (2.7 cM) - At1aの位置にマッピングされた。 
臨床への応用、有用性:  病理学的特徴および遺伝子マッピングの結果より、dmy 遺伝子はラット、マウス、ヒトにおいても報告されていない新たな中枢神経疾患を引き起こす突然変異遺伝子であると考えられる。 
維持機関:  京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設 (2002年12月現在) 
文献:  Kuramoto T, Sotelo C, Yokoi N, Serikawa T, Gonalons Sintes E, Canto Martorell J, Guenet JL. A rat mutation producing demyelination (dmy) maps to chromosome 17. Mamm Genome. 1996 Dec;7:890-4.  
執筆者記録:  庫本高志(京都大学)1999年6月1日, TS:4/21/03 
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