系統
系統:  TM (Tester Moriyama rat)  
キーワード:  血小板セロトニン放出能異常、止血時間延長、red-eyed dilution 
由来:  愛知がんセンターから Long Evans 系ラットとして森山荘精神科病院に供給され、名古屋大学医学部附属動物実験施設で近交化された。毛色のテスター系統として用いられてきたが、1985年、京都大学医学部附属動物実験施設において止血時間の延長と血小板のセロトニン放出能異常を示すことが発見された。  
表現型・病態:  頭巾斑を有し、有色部分の毛色は淡黄褐色(fawn)、眼色は赤色(red)を呈する。血小板のセロトニン放出能異常とそれに基づく血中セロトニン量の減少(正常ラットの1/10)がみられるため、血液凝固時間や血小板数が正常であるにもかかわらず、止血時間の延長を認める。ヒトのChediak-Higashi 症候群やベージュラットにみられるメラノサイトやマスト細胞中の巨大顆粒はみられない。 
病因(原因遺伝子):  TMの示す淡毛色とセロトニンの放出能異常は第1染色体上の劣性遺伝子 red-eyed dilution (r) による多面発現と考えられている。 
臨床への応用、有用性:  TMラットは血小板のセロトニン放出能異常を示し、 Chediak-Higashi syndrome, Hermansky-Pudlak syndrome, Wiscott-AldrIch syndrome 等の platelet storage pool deficiency の良いモデルであり、成因の解明および治療法の開発において有用である。 
維持機関:  京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設 浜松医科大学医学部附属動物実験施設 (1999年6月14日現在) 
文献:  Hamada, S., Nishikawa, T., Yokoi, N., Serikawa, T. TM rats: a model for platelet storage pool deficiency. Exp. Anim., 46(3): 235-239, 1997 浜田修一、芹川忠夫、山田淳三 TMラットの止血時間延長に関する遺伝学的検索 第32回日本実験動物学会総会講演要旨集. p117, 1985 
執筆者記録:  浜田修一(エスエス製薬株式会社)1999年6月14日, TS:4/22/03 
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