系統
系統:  MV (myelin vacuolation rat) 
キーワード:  振戦 
由来:  市販のSDラットから見いだされた振戦を特徴とするミュータント。 
表現型・病態:  振戦発症個体は3週齢前後より刺激に対して振戦症状を示した。触毛の屈曲がみられる動物があったが被毛は正常。20週齢を超える個体において時折跳躍発作がみられた。振戦発症個体は脳幹、小脳、延髄、脊髄のニューロピルにおいて空胞形成がみられる。重篤な例においてしばしば空胞内に顆粒状の崩壊物が確認された。空胞形成部に一致してGFAP陽性の腫大・増生したアストロサイトが認められた。発症例ではミエリンの菲薄化とミエリン層の離解が確認された。 
病因(原因遺伝子):  mvラットの振戦形質は単一の常染色体劣性遺伝により支配されている可能性が示唆された。  ラット第3染色体上にマップされ、アトラクチン遺伝子Atrn (Attractin, formerly zi [zitter])遺伝子座に近接するマーカーと強くコセグリゲートすることから、mvはAtrnと同座であることが示唆された。mvラットの脳ではAtrn mRNAが発現していない。exon 1と630-bpの5'-noncoding 領域を含む、~3.6-kbゲノム領域の欠損が明らかになった。 
臨床への応用、有用性:  振戦。Attractin蛋白の機能解析に有用 
維持機関:  大阪府立大学農学生命研究所獣医病理学 
文献:  Kuwamura M, Maeda M, Kuramoto T, Kitada K, Kanehara T, Moriyama M, Nakane Y, Yamate J, Ushijima T, Kotani T, Serikawa T The myelin vacuolation (mv) rat with a null mutation in the attractin gene. Lab Invest 82(10):1279-86 2002 前田昌也、桑村充、金原稔子、山手丈至、小谷猛夫、森山光章、北田一博、芹川忠夫 新たなミュータントmv (myelin vacuolation)ラットの病態解析 関西実験動物研究会講演要旨 平成13年 前田昌也、桑村充、金原稔子、山手丈至、小谷猛夫、森山光章、庫本高志、牛島俊和、中根良文、北田一博、芹川忠夫 mv (myelin vacuolation) ミュータントラットの病態・遺伝解析 第17回日本疾患モデル動物学会講演要旨 2000年 Nov. 
執筆者記録:  森田眞紀(京都大学)4/1/2003, TS:4/24/03 
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