系統: |
F344.ACI-qc (queue courte rat) |
キーワード: |
中枢神経系、中枢神経系の構築、神経発生、生殖器発生、短尾 |
由来: |
パスツール研究所(パリ)のACI/Pasコロニー中に尾部の形態異常と後肢の歩行異常により発見された。1998年7月、京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設導入後、F344/NSlcを戻し交配してコンジェニック系統を作製。2003年現在N10。 |
表現型・病態: |
短尾。ホモ接合体は旋回行動を起こす。中枢神経系において脳梁や脈絡叢の発生不全と共に小脳や海馬の形成不全を認める。
ホモ個体で7日齢頃に姿勢維持に関連する立ち直り反射の発達に遅れ。14日齢頃に改善がみられるが、後肢を扇状に開き引きずって歩行する後肢の歩行異常が観察された。これに加え頭部を左右に振りながら歩行。離乳できる個体も希にあるがほとんどの動物がそれまでに死亡。ヘテロ個体では異常を認めず。
外見的には尾のくびれ、短尾といった尾の形態異常を認める。
病理学的解析:肉眼的にミュータント個体の大脳は正常に比べて小さく、特に前頭部が矮小化。小脳の発達悪く、扁平化。雌では左右の子宮が欠損、雄では生殖器に異常は認められない。尾の異常には個体差がみられ、長さは正常で先端のみ線維状のもの、突起状の短尾等がみられた。組織学的には大脳皮質および海馬回は低形成。吻側部の脳梁欠損を認める。脳梁周囲にしばしばPCNA陽性の未分化細胞の集簇がみられた。小脳小葉の発達悪く、小葉数の減少を認める。いずれの脳室の脈絡叢も低形成である。脊髄では脊索の形成が著しく悪い。
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病因(原因遺伝子): |
常染色体劣性遺伝。原因遺伝子は第13染色体に位置する。LIMホメオボックス転写因子Lmx1aをコードする遺伝子にTRUNCATIONを認めた。ためにホメオボックスドメインを欠き、機能アレルが欠損する。 Lmx1a遺伝子は胎仔期ばかりでなく生後も発現し、大脳皮質や小脳の構築に寄与している。ラットqc遺伝子はマウスdr遺伝子のラットホモログと推定される。 |
臨床への応用、有用性: |
中枢神経系、中枢神経系の構築、神経異常、短尾 神経発生・生殖器発生の形態形成解析に有用 |
維持機関: |
京都大学大学院医学研究科動物実験施設 |
文献: |
Kazuhiro Kitada, Muraguchi T, Ueno M, Kuwamura M, Gu始et JL, Serikawa T
TRUNCATION OF LIM HOMEOBOX TRANSCRIPTION FACTOR Lmx1a RESULTS IN ABNORMAL DEVELOMENT OF THE CENTRAL NERVOUS SYSTEM OF qc/qc RAT
The 15th international mouse genome conference 2001
Kitada K, et al.,
Mutation of the LIM homeobox gene Lmx1a causesabnormal development of the central nervous system in the queue courte rat.
The 2001 meeting on Physiologycal Genomics and Rat Models
村口武彦、北田一博、桑村充、Jean-Louis Gu始et、芹川忠夫
新たな神経系ミュータントqcラットの遺伝学的解析
関西実験動物学会講演要旨 平成12年
上野真由美、桑村充、村口武彦、北田一博、山手丈至、小谷猛夫、Jean-Louis Gu始et、芹川忠夫
新たな神経系ミュータントqcラットの遺伝学的解析
第16回日本疾患モデル動物学会記録 1999年
村口武彦、北田一博、上野真由美、桑村充、Jean-Louis Gu始et、芹川忠夫
新たな神経系ミュータントqc (queue courte) ラットの病理学的並びに遺伝学的解析研究
第47回日本実験動物学会講演要旨 2000年
北田一博、村口武彦、上野真由美、桑村充、山手丈至、小谷猛夫、Jean-Louis Guォenet、芹川忠夫
LIM型ホメオボックス遺伝子Imx1aの変異によりqcラットにおける中枢神経系病変が引き起こされる
第17回日本疾患モデル動物学会記録 2000年 Nov. |
執筆者記録: |
森田眞紀(京都大学)4/2/2003, TS:4/21/03 |
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