系統
系統:  ZIMY (zitter rat developed by MY) 
キーワード:  脳神経系疾患、行動異常、運動失調、振戦 
由来:  1986年にSER作出のため雌のZitterラットと雄のtremorヘテロラットから得たF1個体のうちtm遺伝子をヘテロにもつことが確認されたもの同士を交配。得られたF2個体中にZitterラット型(Zi型)の振戦に加えて、7週令頃より発作性に後駆の弛緩性麻痺あるいは強直性痙攣(ZIMY型発作)を発症する1匹の雌ラットを見つけた。このラットを同腹のZi型振戦をもつ雄ラットと交配したところ得られたすべて12匹のラットはZi型振戦した。このうち6匹(雌3匹、雄3匹)にZIMY型発作が見られた。次にZIMY型発作をもつラットラット間の交配で得られたラットはすべてZIMY型発作を発症した。以後兄妹交配により近交化を進め、F48に達する。 
表現型・病態:  ZIMY型発作には弛緩性麻痺、強直性麻痺に加えてwild jumpingや間代性麻痺発作も見られる。脳波検査(大脳皮質と海馬)の結果ではSERやtremorラットの欠神様発作時にみられる5-7 Hzの棘徐波結合および単発性高電位の群発放電は検出されない。SERの強直性痙攣時の低振幅速波も明らかではない。光顕的には中枢神経病変は空胞形成を主体とする海綿状変性。空胞内は概ね空虚であったが、時には顆粒状物を認めた。4週齢にすでに視床、中脳、延髄、小脳、大脳真皮質、海馬、脊髄灰白質など広範囲に空胞が形成去れ、発作が頻繁に発現する14週齢においても病変に進展はない。電顕的には4および14週齢にミエリン層の離開および軸索周囲腔の拡張を観察。光顕観察で認められた空胞に一致。7日齢以降の体重はSERの同腹非SER(NonSラット)、Slc:Wistar-KYと比べて有意に低い。行動発達は落下回数増加、通過区画数増加と回避率上昇ならびに試行間移動回数増加が観察される。外的刺激については電撃刺激を除いてほとんど発作を発症しない。電撃刺激に対しては発作発症頻度は強度依存的上昇を認める。行動様式および外的刺激に対する感受性はZi型およびSER型とも異なる特徴を有する。 
病因(原因遺伝子):  zi (Atrn)遺伝子変異をもつ。tm遺伝子座は野性型ホモであると判定(ZIMY系とtermorヘテロラットとの交配で得た52匹にはtermor型のラットは得られなかった)。 
臨床への応用、有用性:  脳神経系疾患、行動異常、運動失調、振戦
ZI、TRM、SERとの比較研究において有用 
維持機関:  京都大学大学院医学研究科動物実験施設 
文献:  山田昌夫、中島一男、山崎賢一、小岸克美、浅野裕三、藤田恭彦、芹川忠夫、山田淳三 行動異常を示す新しいミュータントラット系統(ZIMY)の開発 第40回実験動物学会総会講演要旨 1993年(仙台) 桑村有規、乾俊秀、浅野裕三、川合是彰、芹川忠夫、山田淳三 ZIMY系ラットにおける中枢神経病変の病理学的観察 第40回実験動物学会総会講演要旨 1993年(仙台) 浅野裕三、中川洋子、芹川忠夫、山田淳三 ZIMY系ラットの行動発達および外的刺激に対する感受性 第40回実験動物学会総会講演要旨 1993年(仙台) 
執筆者記録:  森田眞紀(京都大学)4/9/2003, TS:4/30/03 
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