AMI(Amelogenesis imperfecta rat)
執筆者:石橋光太郎(第一製薬株式会社試験研究センター)
1. キーワード
エナメル質形成不全症
2. 由来
第一製薬株式会社試験研究センターの石橋らにより、近交系
で維持されていたSHRSP系ラットの中から、切歯の形態異常を持つ個体として発見さ
れ、系統として確立された。
3. 表現型・病態
正常個体の切歯唇側は3週齢以降白色から黄褐色に変化する
のに対し、本ラットは白色のまま変化しないことから区別がつく。切歯は硬度に欠け
固形飼料を摂取することにより、折れたり、欠けたり、異常に長く伸びたりする。ま
た、臼歯も硬度に欠け、擦り減りやすい。組織学的には、エナメル芽細胞が未発達で
あり、エナメル質の形成不全が認められる。
4. 病因(原因遺伝子)
交配試験の結果、常染色体上の遺伝子によって規定される劣
性遺伝様式をとることが明らかになっているが、染色体上のマッピングはできていな
い。
5.臨床への応用、有用性
ヒトのエナメル質形成不全症のモデル動物となる他、歯の発
生メカニズムを解明する上でも役立つものと期待される。
6.維持機関
第一製薬試験研究センター、東京医科歯科大学歯学部、岡山
大学歯学部
7.文献
Ishibashi, K., Iino, T., Sekiguchi, F.
Amelogenesis imperfecta, a new dental mutation in rats.
Lab. Anim. Sci. 40 : 16 - 20, 1990.