Update:Oct/17/2000
CC (Cerebellar
Calcification) rat
執筆者:安藤洋介(三共株式会社安全性研究所)
1. キーワード
運動失調、小脳プルキンエ細胞変性、小脳石灰沈着、小脳低形成
2. 由来
1992年に三共株式会社安全性研究所で維持されている近交系F344ラットにおいて歩行異常を示すミュータントとして発見され、同研究所でホモ
(cc/cc) 雌とヘテロ (cc/+) 雄の交配で維持されている。
3. 表現型・病態
生後16-18日齢より軽度の振戦と四肢の協調性を欠いたよろめき歩行を呈する。組織学的には若齢より重篤な小脳プルキンエ細胞の変性が認められ、その細胞体および樹状突起には石灰沈着およびPAS陽性物質(糖蛋白)の蓄積が観察される。石灰およびPAS陽性物質の蓄積は加齢とともに重篤化し、プルキンエ細胞層および分子層の破壊を引き起こす。また、石灰沈着は小脳皮質において左右対称性の分布を示す。この突然変異は常染色体性の単一劣性遺伝子に支配されると考えられ、Cerebellar
Calcification (cc) と命名した。
4. 病因(原因遺伝子)
病因遺伝子 cc
はラット第15染色体短腕テロメア付近にマッピングされており、近傍のマーカー座位との位置関係はcc-(2.5
cM)-D15Rat42, Plau-(2.9
cM)-D15Rat1である。また、この領域はマウス第14染色体セントロメア近傍と相同性が認められる。
5. 臨床への応用、有用性
プルキンエ細胞の変性と頭蓋内の石灰沈着の研究に対する新たな病態解析モデルとなることが期待される。
6. 維持機関
三共株式会社安全性研究所
7. 文献
Ando, Y., Ichihara, N., Takeshita,
S., Nagata, M., Kimura, T., Tanase, H., Kikuchi, T.
A neurological mutant rat with
symmetrical calcification of Purkinje cells in cerebellum.
Proc Soc Exp Biol Med. 221: 361-358,
1999.
Ando, Y., Takeshita, S., Fujimoto,
K., Shimizu, M., Nagata, M., Kikuchi, T., Wakasugi, N.
Genetic mapping of a neuurological
mutation cerebellar calcification in the rat.
Mamm Genome. 2000 (in
press).